プロジェクトの問題検知と解決を習慣化するための取り組み

はじめに

プロジェクトを進めていると様々な問題が立ち現れてきます。問題を放置すると問題がある状況にメンバーが慣れてしまい、知らず知らずのうちにプロジェクトの速度が落ちてしまうことがあります。そうならないためには、プロジェクトの問題をすぐに検知して解決する習慣を作らなければいけません。このエントリでは問題の検知と解決を習慣化するために僕が行った取り組みを紹介します。

「何か困ったことはないですか?」作戦

やることはとても単純で、毎日のスクラムミーティングで進捗報告が終わったあとに「何か困ったことはないですか?」とメンバーに聞くだけです。 プロジェクトで起こる問題の中にはすぐに忘れてしまったり慣れてしまうものもあります。例えば「ビルドできるけどエラーが出ていた」とか「たまに使う備品が切れていた」とか。そういったものはすぐに拾い上げないと問題として検知できなくなってしまいます。「何か困ったことはないですか?」と毎日問いかけ続けることで、メンバーが忘れたり慣れたりしてしまう前に問題を拾い上げることができます。

この作戦を実行するに当たって大事なのは「怒らないから言ってごらん」パターンに陥らないようにすることです。子供のときに両親から「怒らないから言ってごらん」と言われてまんまと白状したところめっちゃ怒られた経験が皆様もあるかと思います。(僕だけ?) そうなってしまうと「怒らないから言ってごらん」と言われても何も言わなくなります。「何か困ったことはないですか?」作戦も同じで、メンバーから困ったことを報告されたときは「なんですぐに言わなかったんだ」とか「そんなことは自分で解決してくれ」とか内心思ってもグッと我慢して報告してくれたことに感謝します。そうしないと報告の件数が減ってしまい、作戦の意味がなくなってしまいます。

メンバーから困りごとを聞けたら率先して解決を図るようにします。せっかく困りごとを伝えても解決されない、もしくは結局自分で解決しなければいけないのであればメンバーが報告することをやめてしまいます。ちょっと辛いですがここをサボると問題を検知できなくなってしまうので頑張ります。

KPT(Keep, Problem, Try)

KPTスクラムの振り返り会で行うプロジェクト改善の取り組みです。KPTググると記事がたくさん出てきますので、詳しく知りたい方はそちらを御覧ください。僕のチームでのやり方はオーソドックスで、まずは10分程度時間を取って直前のスプリントの「良かったこと」と「悪かったこと」を洗い出します。次に洗い出した「良かったこと」から今後も継続する価値のありそうなものをwikiに記録します。最後に「悪かったこと」の解決策をチームで話し合い、解決策が決まったらそれを次のスプリントのタスクに追加します。

KPTは「何か困ったことはないですか?」作戦と検知できる問題の質が違うように感じます。「よくよく考えるとこれ無駄だよね」とか「解決できないと思い込んでいた」とか埋もれていた問題が掘り起こされることがよくあります。理由は明確ではないのですが、時間を取って問題を探すのでブレストのような効果があるのかもしれません。また、解決策がスプリントのタスクに正式に追加されるので、大きめの問題に取り組みやすいのもKPTの特徴です。

おわりに

「何か困ったことはないですか?」作戦とKPTを始めてから、今までなら放置されていたであろう大小様々な問題を検知できるようになりました。また、検知した問題を解決し続けることでプロジェクトの進行が以前よりもスムーズになったように思います。「何か困ったことはないですか?」作戦もKPTも小コストで始めることができますので、似たような課題意識がある方は是非試してみてください。